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こだわりの「挨拶状」を作ったときの話

こんにちは、東京紙器です。

東京紙器は、約70年にわたる歴史の中で培った技術と信頼と共に、コロナ禍が落ち着きはじめた2022年に社長が交代し、新しい世代へと引き継がれました。その節目を記念して、記憶に残るようなすこし特別な挨拶状を作ろうと考え、弊社と協力工場が力を合わせることでそれを実現しました。

今回ご紹介するのは、「新しい時を刻む」というテーマで製作した挨拶状です。黒を基調にした時計のモチーフをメインに、箔押しやレーザーカット加工など、質感や細部にまで徹底してこだわりました。他にはない、唯一無二の一枚に仕上がったその過程を、ぜひご覧ください。

デザインのこだわり


デザインの作成にあたっては、紙や印刷、加工のすべてを考慮しながら進める必要があり、1ヶ月以上かけて試行錯誤しました。完成したデザインでは、表紙に「新しい時を刻み始めました」という言葉と共に、時計の針が0時1分を指しています。これは、弊社がこれから新体制のもと新たな時代を進み始めることを表現しています。

東京紙器 社長就任 挨拶状

さらに、時計の下には小さな小窓があり、そこを開くと、社長の顔が覗いています。遊び心を取り入れたデザインは、かっこいいだけでなく、見る人を楽しませる工夫も施されています。

東京紙器 挨拶状 顔をのぞかせる社長

紙へのこだわり


挨拶状には「OK ACカード まくろ 四六判177kg」を使用しました。

OK ACカードは、主にカードやパッケージなどへの使用を考えて開発されたファンシーペーパーです。非常に手触りの滑らかな紙で、色のラインナップも豊富です。日本の紙らしい淡い色が多くなっています。

1963年に発売された紙ですが、使用した「まくろ」は2010年に追加された比較的新しい色です。同系色に「黒」もありますが、「まくろ」の方がより深みのある黒色で、コントラストのはっきりした表現に向いています。他の印刷や加工と組み合わせることで、挨拶状のメッセージ性を引き立てることができ、重厚感と高級感を演出することができました。

東京紙器 社長就任 挨拶状 中面

こだわりの印刷


特定の関係者へお渡しする特別な挨拶状だったため、製作数が少なく、コストを考えればオンデマンド印刷を選択するところでした。しかし、想いを伝える点を重視し、あえてデザイン再現性や汎用性に優れたオフセット印刷を施すことにしました。

オフセット印刷は、他の印刷方式に比べてインキの盛り量が少なくなります。そのため、色のついた紙への印刷が難しく技術が求められます。中でも、使用した黒い紙は難易度が上がります。

今回はシルバーインキを使い、さらに2度刷りを行うことで、文字や絵柄がくっきりと再現されるように工夫しました。時計の針の細かい線まで正確に再現され、中面の絵柄や文字も非常に読みやすく仕上がっています。見る角度によって、シルバーが柔らかく輝き、まるで本物の金属のような質感が感じられます。この上品な輝きが、挨拶状全体に高級感を与え、特別な一枚として印象深く仕上がっています。

東京紙器 挨拶状 印刷

加工へのこだわり① 箔押し


表面の時計の文字盤、「新しい時を刻み始めました」の文字、裏面にある会社ロゴは、青色の箔押し加工で再現されています。箔押しで使われる箔は、金や銀が主流ですが、今回使用した青(UKブルー)のように、他にもメタリックカラーや顔料を使用したカラーなど多種多様なものがあります

箔押し特有の光沢感は、光の角度によって文字や絵柄が輝きを帯び、通常の印刷では再現できない高級感と特別感を演出します。しかし、金や銀の箔ではデザインの一部分が強調されすぎ、けばけばしい印象を与えかねないため、今回は黒と相性が良く、より落ち着いた印象を与える青を選びました。

この色には、黒とのコントラストを自然に引き立たせつつ、「落ち着き」や「安らぎ」といった印象を与える効果があるため、今回のデザインに相応しい品格を感じさせる仕上がりになりました。

加工へのこだわり② レーザー加工


最後にご紹介するのが、弊社が最も得意とするレーザー加工の部分です。製作した挨拶状には、レーザーによりカットと彫刻の2種類の加工を行っています。このレーザーによる2種類の加工が、挨拶状の完成度を更に高めてくれています。

レーザーで加工しているのは主に表紙で、時計の歯車の外周と小窓をカットしています。非常に繊細な加工を得意とするレーザーによって、0.3mm程度の線やΦ1mm程度の丸穴、そして細かい歯車の形状が再現されています。

東京紙器 社長就任 挨拶状 レーザーカット レーザー彫刻

歯車や時計内部の模様はレーザー彫刻で再現しています。レーザー彫刻とは、レーザーの出力を抑えて、紙の表層部分のみを焼いて削る加工方法です。これによって、特に濃い色の紙では彫刻した部分が白化し、まるで印刷をしたかのような効果が得られます。印刷と異なるのは、より恒久的であること、立体感を感じられるところです。

レーザー加工の注意点

OK ACカードはレーザー加工との適性が良い紙で、中でも132kgや177kgの斤量のものは結果が良好です。しかし、「まくろ」は黒い紙のため、レーザー加工時にどうしても断面から煤が発生します。

製作した挨拶状でも、カットや彫刻部分を触ると黒い煤が手につくため、手が汚れないように、カードの外周は「断裁」で仕上げました。

黒い紙に対するレーザー加工の詳しい説明は、別記事「煤、半端ないって!黒い紙のレーザー加工」をご覧ください

さいごに


東京紙器の挨拶状いかがでしたでしょうか。社長交代の挨拶状は何度も出すものではありませんので、ぜひお取引様の記憶に残るものにしたいという想いから製作をスタートしました。細部までこだわりぬいた挨拶状は、心に残る特別な一枚になったと自負しています。

送付から2年が経った今でも、お取引様から「あの挨拶状は素晴らしかった」とお褒めの言葉をいただくことがあります。このように、想いを乗せた紙製品には、費用や機能だけでは測れない深い価値があると感じます。手に取ったときの感動は、人々の記憶に残り、何年経っても色褪せることなく残ります。

東京紙器では、挨拶状だけでなく、御朱印、DM、そして招待状など、お客さまのご要望に合わせたあらゆる紙製品の製作をお手伝いしています。デザインから紙、印刷、加工、それらの組み合わせに至るまで、全ての工程を一貫してサポートしています。

お客様の「Ideaを形に。」します。

ご相談はお問い合わせフォームからお気軽にどうぞ。

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