東京紙器という社名から箱を作っているイメージがわくかも知れませんが、弊社は薄紙の打抜き加工がメイン事業です。中でも、雑誌付録などの出版系印刷物、ノベルティやカレンダーなどの商業印刷物などの加工が中心となります。
弊社で扱う印刷加工物の完成までには、「印刷」「断裁」「製本」など、打抜き以外にもいくつもの工程があります。
完成品によってその工程は様々ですが、1つの会社で最初から最後までの工程を担うのは稀です。多くの場合、工程の上流にあたる印刷会社が完成までの責任を負う元請けとなり、後工程はその下請けとなります。そのような流れから、コスト管理は自ずと元請けである印刷会社が担うことになり、コストに対する考え方も印刷会社の考え方が中心となります。
今回の記事では、印刷会社とは少し異なる「加工会社」の視点から、印刷物の製造コストについて、その削減方法や工夫について考察してみたいと思います。特に少ロット生産における無駄を減らすヒントを探っていきたいと思います。
目次
印刷単価の推移
印刷単価は、歴史的に下がり続けてきました。それは、昭和時代の印刷物需要増大への対応のため、技術革新と機械化により生産効率が向上した結果、単価を下げて量で稼ぐビジネスモデルが成り立っていたからです。そのため、印刷物の需要が膨大にあったころは、その量をいかにこなすかということが最優先課題となっていました。
しかし、平成に入り、IT化や少子化などによって社会情勢が大きく変化し、印刷物需要が減退してくると、状況は一変しました。業界全体で供給力が過剰な状態に陥り、各社は少しでも機械の稼働を高めるために少ないパイを奪い合うことになりました。結果的に、印刷単価は低空飛行を続け、上昇する余地がほとんどなくなっていました。
コロナで流れに変化が
この流れを大きく変えたのが、コロナ禍の影響です。コロナ禍は、印刷業界にも例外なく大きなダメージを与えました。その結果、それまでの設備投資などの影響で、ただでさえギリギリの状態でやってきた企業の倒産や、グループ化による業界再編が進みました。
これにより、供給過剰が続いていた状態に多少バランスがもたらされました。さらに、人件費の上昇や円安などによるコスト増加、インフレムードになったことも追い風となり、とうとう印刷単価も上昇に転じたのです。
とりあえず多面付けして通し数減らせばいいんだよね?
とはいえ、印刷業界の都合と関係なく顧客は安い方を選択するのが資本主義の宿命。印刷コストを安くするためには、多面付けをして通し枚数を減らし、紙代や印刷代を減らすのが基本ですよね。しかし後工程で打抜きが必要な場合、それが逆効果になることもあります。
忘れちゃいけない型代を
その理由は「型」です。打抜きで主に使用する型は、ベニヤ版に刃物を嵌め込んで作るもので、ベニヤの大きさや使用する刃物の種類、長さ、本数になどによってコストが決まります。
近年の印刷物は多品種小ロット化が進んできています。ロットが小さいほど、加工代に占める型代の割合は上がります。そのため、さきほどのように印刷コストのみを考えて多面付けを行うと、型代が膨れ上がる可能性があるということです。
ですから、最終的な数量や内容、型の難易度に応じて面付数を調整するほうが、結果としてトータルコストを下げる効果が期待できます。しかし、適切な割付を行うには、打抜きをはじめとする後工程の知識が必要となるため、経験が無いと非常に難しい作業なのです。
各工程を知っているから、トータルコスト削減可能
東京紙器もかつては打抜き専業でしたが、時代の流れと共に様々な別事業も展開してきました。現在では、付箋製造、レーザー加工、ポップアップカード製造、卓上カレンダー製造なども手掛け、社内にはそのための設備を導入し、オンデマンド印刷機も保有しています。これらの事業を通じ、現在では弊社はデザインから最終納品までの全工程を取り扱っているため、トータルコストを考慮した各種提案が可能となっています。
協力会社も多岐にわたり、紙とは関係がない木材を取り扱っている会社などとも取引があります。引き出しを多く持つことが、激動の時代を生き残る鍵です。印刷会社の強みの一つは、間口が広く、様々な業種のお客様に対応できることだと思います。弊社のような会社をご活用いただくことで、より多様な要望にこたえることができ、エンドユーザー、印刷会社、弊社、そして協力会社の全てがwin-winの関係を築くことができるでしょう。
とりあえず東京紙器に投げてみて!
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