こんにちは、東京紙器です!
印刷物の加工では、どういった加工方法を用いるかは非常に重要な要素で、加工方法によって製品の品質やコスト、効率に大きな影響を与えます。弊社では、主に「打抜き」と「レーザー」の二通りの紙加工方法を用いることができます。今回は、それぞれの特徴や利点、そして適した用途についてご紹介します。
目次
打抜きの特徴
打抜き(ダイカット)は、型を使用して紙を打ち抜く加工方法です。型の形状に合わせて、大量の紙を同じ形に加工することができます。主に木型(トムソン型、ビク型ともいう)を使って加工をしますが、彫刻型や腐食型といった金属でできた型を使う場合もあります。今回は、木型を使用し自動打抜き機での加工を前提にご紹介します。
メリット
高い生産性
大判の紙に多面付けで印刷したものを一度に加工できます。1時間あたり2~3,000枚以上の紙が加工でき、生産性が非常に高いです。
コスト効率
型の製作コストがかかるものの、大量生産の場合、1枚あたりのコストが低くなります。
精度の高い仕上がり
型を使用するため、同じ形状を高精度で繰り返し加工できます。また、印刷位置精度を検知する装置があるので、高い見当精度を維持しながら加工できます。
デメリット
初期投資が高い
型の製作に数万円以上かかるため、少量生産時のコストが割高になります。
デザインの変更が難しい
型を変更するには新しい型を作る必要があるため、急なデザインや仕様の変更に対応しづらいです。
レーザー加工の特徴
レーザー加工は、レーザービームを使用して紙を焼き切る加工方法です。イラストレーターなどの描画ソフトで作成されたデータを使って、緻密で複雑な加工ができます。また、紙だけでなく木やアクリル、PETといった素材への加工も可能です。
メリット
柔軟なデザイン対応
版や型を用いず、作成データをもとにそのまま加工することができるので、デザインの変更が容易で、型では再現が難しい複雑で精細な形状もレーザーな再現できます。
初期投資が少ない
型を必要としないため初期コストが抑えられ、少量生産時のコスト効率に優れています。
高精度な加工
最小線間約0.6mmと、微細な部分まで正確に加工できます。また入り組んだ形状であってもデータ通りに加工ができるので、細かいデザインに適しています。
デメリット
大量生産に時間がかかる
一筆書きのようにレーザーが動くため、一度のプレスで多面加工できる打抜きに比べて、1枚あたりの加工にかかる時間が長く、大量生産時に時間がかかる場合があります。
素材を選ぶ
レーザー加工は素材を焼き切るため、紙によっては焦げやススが発生し、見た目の印象が悪くなる場合があります。コート紙のような表面に塗工がされた紙や、黒紙のように染色にカーボン等が配合されている紙は、焦げ、変色、ススが発生しやすいです。
どちらを選ぶべきか?
打抜きとレーザー加工のどちらを選ぶかは、製品の特性や生産量、デザインの複雑さによって異なります。
大量生産でシンプルな形状の場合
打抜きが最適です。
弊社設備であれば、L全判(800x1100mm)の用紙をそのまま加工できるなど多面付けへの対応が容易で、生産性が高く、1部あたりのコストも低くなります。
折り筋が必要な場合
打抜きの方が適しています。
残念ながら、レーザー加工では折り筋を入れることができません。ただし、折り筋をミシン目状の加工に変えることで、レーザー加工を用いることもできます。
少量生産や複雑なデザインの場合
レーザー加工が最適です。
型の製作が不要なので、少量生産時はその分コストが抑えられます。ペーパークラフトの少量生産や、より複雑な形状のものをお作りになりたい場合は、型の初期コストが掛からず、形状の制約が少ないレーザー加工がオススメです。
コストと品質のバランス
最終的に、どちらの加工方法を選ぶかは、コストと品質のバランスを考慮することが重要です。打抜きは初期投資が高いものの、大きさや仕様にもよりますが、数千部を超えるような大量生産品ではコスト効率が良くなります。また、薄紙(弊社では上質紙なら46/70kg~)から厚紙まで、幅広い種類の紙を加工できます。
一方、レーザー加工はデザインに対する柔軟性が高く、少量生産や複雑な形状の再現性に優れています。しかし、大量生産に時間がかかり、長い納期を必要とする場合があります。また、加工する紙によっては、焦げや煙の付着による変色やススの発生といった品質上の課題が生じることがあります。
まとめ
打抜きとレーザーのどちらの加工方法が良いかは、用途やデザイン、そして製作数量などによって異なりますので、まずは製作物の条件を洗い出す必要があります。どちらの方法も、それぞれの利点を最大限に活用することで、高品質な製品を効率的に製作することができます。
弊社では、お客様のニーズに合わせて最適な加工方法をご提案しています。特殊な素材を加工したい場合、打抜きで再現可能かどうか分からないもの、数量的に打抜きとレーザーのどちらがコスト的に最適か判断つかないなど、ご不明点や疑問点がありましたら、お気軽にお問い合わせください。