【後編】和紙×レーザーカット 東京紙器のクリエイティブな世界
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「皆さんのアイデアの源泉になるような魅力的な名刺を作りたい。」そんな思いでデザインや素材選びなど、紙、印刷、加工技術の見本になるような細部までこだわった名刺を作る企画をスタートさせました。
和紙にレトロな印象を与える活版印刷を施し、箔押しとレーザー加工では豪華さと繊細さを表現する。前回の記事では、この名刺のデザインコンセプトづくりや、素材の選定理由などを詳しくご紹介しました。
そんなこだわり抜いた名刺が無事完成したので、今回製作にご協力いただいた活版印刷屋さんの情報と共にご紹介します。
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活版印刷の選定
かつて、名刺の印刷には主に活版印刷が用いられていました。活版印刷とは、一文字ずつ判子のように文字が掘られた金属の「活字」を使用して印字します。文字の組み合わせによって様々なテキストを作成できるので、名刺だけでなく書籍の印刷など、幅広く利用されていました。しかし、デジタル化が進んだ現代では、多くの印刷はオフセットやオンデマンド印刷に取って代わられ、活版印刷はその姿を消していきました。本企画の名刺も当初は樹脂版などを利用した現代的な凸版印刷で行うつもりでしたが、調べてみると現在でも都内で活字活版を手掛けている会社があることがわかりました。
活版印刷 弘陽との協力
東京の八丁堀にある「弘陽」は、現役で活版印刷を手掛けられている会社です。社長の三木さんはこの業界で豊富な経験を持つ熟練の職人さんで、お一人で活字活版をはじめとする各種の活版印刷を手掛けられています。元々組版職人だった三木さんは、近隣の印刷会社へ依頼していた時期もありましたが、活版印刷が減少する中で自ら印刷技術を身につけられました。組版職人とは、多数の活字の中から必要なものを素早く探し出し、それらを組み合わせて印刷版を作る専門家です。フォントの種類やサイズ、レイアウトの調整など、印刷物の質は組版の技術に大きく依存します。活字を使う印刷では不可欠な存在です。今回の名刺製作では、その重要な印刷部分を弘陽さんにお願いすることにしました。
箔押しの種類
活版印刷の次のステップは箔押しです。厚手の和紙を用いることで、活版印刷により濃密に印字された文字は非常に存在感があります。文字部分が主役となる名刺では、箔押しは上品さを加えるアクセントの役割を担います。箔押しには光沢のある金箔が用いられることが多いですが、より上品で洗練された雰囲気を目指し、光沢を抑えた「消金」を選びました。この選択は正解で、少し生成りがかった和紙との組み合わせで、高級感のある落ち着いた雰囲気の仕上りになりました。
繊細なレーザーカット仕上げ
箔押しを施した名刺に最後に行うのがレーザーカットです。使用した和紙は比較的厚く、繊維がしっかりしていたため、レーザーカットによる細かい加工の再現性や、焦げの心配がありました。しかし、最終的に非常にきれいに仕上げることができ、レーザーカットの精度の高さが際立つ直径約0.5mmの穴を、わずか0.2mm間隔(データではもっと余白があります。)で空けることができました。名刺のような小さい紙を1枚ずつ加工するのは時間がかかるため、複数枚を同時に加工できる特別な冶具を用いて効率的に作業を進めました。
完成した名刺は高価なものになりましたが、その分その効果も大きいと思います。以前にも触れたように、名刺は個人や企業のアイデンティティを表現する小さなキャンバスです。そのため、その名刺が持つ「意味」にこそ本当の価値があると考えています。今回ご紹介した企画や印刷、加工の過程が、皆さんのモノづくりに新しいアイデアや気付きをもたらせれば幸いです。お問い合わせやご相談はいつでも歓迎ですので、ぜひ問い合わせフォームからのご連絡ください。
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ハッシュタグは #東京紙器 #レーザーカット #デザイン #名刺
【参考】
活版印刷 弘陽
http://www.kappankoyo.com/