できらぁ!ということで、皆さんは水溶紙という紙をご存じでしょうか。
水溶紙の製造会社の日本製紙パピリアのHPにはこのように説明があります。
その名の通り、水に溶け(やすい)紙です。乾いた状態では普通の紙と変わらず、印刷や各種加工もできますので、機密文書から医療まで用途は様々です。その特徴から主に医療現場で使われることが多い紙なのですが、流し灯篭などユニークな用途に用いられることもあります。
温水はもちろん冷水にも速やかに分散しますので、あらゆる分野でその機能を発揮します。
文字通り水につけると30秒から60秒程度で水に溶けて分散してしまいます
木材パルプという天然素材でできているため、環境に対して悪い影響はありません。土壌の上に敷いて放置しておいても、雨水で溶けて土に還ります。
面白い紙ですよね。さて、先日ある企業様から、そんな水溶紙で付箋を作成できないかという問い合わせをいただきました。
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浮かんだ疑問
その問い合わせを受けたとき、まず頭に浮かんだのは2つの疑問です。
- 付箋の糊は水溶性エマルジョン糊なので水分を含んでいるから、糊加工をしているそばから溶けてしまうのではないか?
- 付箋ができたとして、使用目的は何か?
想像がつきませんでした。
何はともあれ、試作してみるしかないと用紙を取り寄せて糊加工をしてみることにしました。
糊引きの方法の詳細は省きますが、結果から言うと糊引き加工は無事にできました。
作業中に溶けてしまうこともなく、見た目も使用感も普通の付箋と変わりませんでした。
もちろん水溶紙としての性質はそのまま、文字を書いた後に水につけるとあっという間に溶けてしまい、跡形もなくなりました。
もう一つの使用目的についてはお客様にお伺いするしかありませんが、快く教えていただけました。
逆に溶けてほしい
それは、今回の付箋は建築現場の屋外での目印に使用したいということで、最後は水に濡れてなくなる必要があるからというものでした。
また用紙に書き込みはしないけれど、何種類かの色を付けたいとのこと。
水溶紙シール(あるかどうか分かりませんが)といった使い方に近いかもしれません。
付箋の特徴は積層されているために、1枚1枚に剥離紙は不要です。
シールの場合はシール1枚に対して剥離紙が1枚必要です。
この剥離紙はゴミとなりますので、できれば減らしたいものです。特に屋外、建築現場ではそこらじゅうにゴミ箱があるわけでもないですよね。
ですから、水に溶けて綺麗に分解されるほうが都合が良いというわけなのです。
付箋本舗の提案
普通の付箋紙としての想定しかしていませんでしたので、糊幅は通常の付箋のように20mm程度で作製しましたが、目印にすることを考えると糊幅を広くして、粘着強度を上げることができるとご提案させていただきました。
付箋の糊は弱粘着糊ですが、糊面と糊面を貼り合わせるとかなりの強度になりますので、そういった使い方もご提案しました。
残念ながら製品化は見送りになりましたが、思わぬ使用方法があるものだなと、改めて付箋の可能性の広さを認識した1件でした。
東京紙器は製造・加工の会社です!こういった特殊な付箋の糊加工についてのご相談も承っておりますので、こんなことできるの?というアイデアがございましたら、東京紙器のHP又は付箋本舗お問合せフォームより、お気軽にお問い合わせください。