こんにちは、東京紙器のコガです!
今回は、こちらの「【レーザーカットテストカット結果】」の第二弾です。
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はじめに
今回は和紙系のサンプルカットの結果を載せていくのですが、前回同様、焦げの程度や適性がわかりやすいように、加工面(裏面)から見た写真を載せております。
また、こちらの結果は東京紙器のレーザーカット機での検証結果です。使用されている機種によって結果は変わりますので、弊社限定の参考資料としてご覧いただけますようお願い致します。
テストカットの用紙設定について
さて、今回は社内の御朱印担当から声が上がり、御朱印に使えそうな和紙のレーザーカット適正が知りたい!ついでに筆記適正も知りたい!ということで、主に和紙に焦点を当てて用紙選定をしました。
焦げ具合が見えやすいように、今回も出来る限り白いものを例に挙げています。和紙はあまり厚いものが無く、100kg以下の薄めの用紙が主になりました。
今回は薄い用紙が多く、前回ほど焦げ色が見られなかったので、背景に青い紙を敷いて、断面の黄味が見えやすくしてみました。
ご紹介するのはスキャン画像ですので、実際に見た感じとは異なります。
本記事内の画像はあくまで参考程度にお願い致します。実際のご注文でご検討の際は、一度サンプルカットをご依頼いただき、実物をご確認頂くことをお勧めいたします。
鳥の子紙(白)90kg
表面が滑らかで、鶏卵のような淡い黄色の光沢があることからその名がつけられたという和紙です。強く耐久性もあり、墨の映りも良いことから書道用紙や襖の上紙としても使用されています。
目立つ焦げの感じもなく、きれいにカットができました!表面も平滑性があるため、とても切りやすかったです。
大礼紙(白)75kg
昭和天皇が即位されたときに行われた”大礼の儀式”にちなんで作られたという和紙です。細かい楮の繊維がきらきらと見え、上品で高級な印象がある紙です。
目立つ焦げの感じもなく、きれいにカットができました!表面も平滑性があり、繊維も細かめですので特に難なく切ることができました。
雲龍大礼紙(白)75kg
大礼紙の特徴である繊維を長めに散らし、表面に多く見せるように作られた和紙です。雲が流れているような繊維の風合いが心地よい紙です。
目立つ焦げの感じもなく、きれいにカットができました!表面も平滑性があり、特に難なく切ることができました。
特抄越路(白)75kg
繊維の束感が動物の毛並みのようにも見える、面白いテクスチャの和紙です。表面はつるつるとしていますが、裏面は繊維の質感がしっかり残っており、手触りも楽しい紙です。
繊維の束の有無で厚みにムラがあり、一番厚い部分を切るために出力を高めに設定しました。若干焦げっぽく見える部分もあります。また、繊維が集まっている部分は切りきれず、カスが残る部分が多くありました。
大静海波(白)75kg
日本の伝統的な和柄・青海波が表面にあしらわれ、白紙の状態でもなんだか小粋な和紙です。
目立つ焦げの感じもなく、きれいにカットができました!表面も平滑性があり、特に難なく切ることができました。
山根紙(白)75kg
和紙といってイメージされるのはこの山根紙が多いのではないでしょうか。太めの繊維が多くみられ、自然の風合いが素敵な紙です。
太くてかたい繊維が沢山入っているため、なかなか切り切れませんでした。高出力でカットすることになったので、茶色く焦げてしまっています。ただ、それでも切りきれない繊維もあり、カスが結構残ってしまいました。堅い繊維を切れるほどの高出力・低速でカットをするとと、繊維が無い部分にとってはパワーが強くなってしまうので、紙が燃えてしまうこともあります。これはなかなか綺麗にカットするのが難しい和紙ですね…。
楮紙(純白)厚口
楮の繊維を原料として漉いた和紙で、繊維が長く丈夫なため様々な用途に使用されています。表面は少しザラっとしており、ふわっと軽い印象です。
断面が少し茶色っぽくなりました。少し焦げ感が気になりますが、触っても手に焦げがつくほどではありません。
特選奉書 瑞穂(じゅんぱく)60kg
奉書紙も楮紙の一種で、古くから公家や寺社等の公用紙として使用されています。この「特選奉書瑞穂」は従来の和紙に比べ乾燥が速く、にじみも少ない用紙として重宝されています。
目立つ焦げの感じもなく、きれいにカットができました!表面も平滑性があり、特に難なく切ることができました。
片面赤染奉書65kg
こちらは片面が赤・片面が白の奉書紙です。もともと白の奉書紙の片面を赤く染色しているものです。奉書紙と組み合わせて熨斗紙や箸袋等で使用されることが多いようです。
焦げの感じはないのですが、カットした部分の周囲に赤染の顔料が裏面にまで散っている感じがあります。
染和紙(純白)26.5kg
名前の通り、染めて色を付けた和紙です。今回はレーザーカットの焦げ具合を見るために、色がついていない「純白」を使用しておりますが、染和紙にはカラフルな色展開があります。全13色(純白・浅黄・桃・唐子・茶・橙・緑・黄・海老茶・青・紫・赤・黒)。
濃いめの色味が多く、レーザーカットが映えそうですね。
目立つ焦げの感じもなく、きれいにカットができました!特に難なく切ることができました。
和紙風の洋紙
和紙の印刷適性というのは総じて低く、オンデマンド印刷やオフセット印刷等では発色が悪かったり、紙粉で機械にダメージがあるためそもそも印刷が不可とされる場合が多くあります。
しかし、その魅力的な質感を印刷物に使いたいという声は多く、印刷適性がある和紙〝風″の洋紙を使用することもあります。その例として2種用紙をご紹介します。
しこくてんれい(雪)135kg
和紙の大礼紙を洋紙にアレンジした紙で、特徴の長めの繊維が漉き込まれています。凸凹はほとんどなく、裏面は無地のケント紙になっています。
断面が焦げで茶色っぽく見えます。他の和紙に比べると少し焦げ感が目立つように感じますが、洋紙の中では比較的カット適正は良好だと言えそうです。
新鳥の子(雪)110kg
その名の通り、鳥の子紙の風合いに似せて作成された洋紙です。
断面が焦げで茶色っぽく見えます。他の和紙に比べると少し焦げ感が目立つように感じますが、洋紙の中では比較的カット適正は良好だと言えそうです。
おわりに
いかがでしたでしょうか。
洋紙と同じように和紙にもたくさんの種類があり、様々な風合いや魅力があります。
ただ、和紙には比較的厚みのムラが多く、今回紹介した山根紙のように、太目の繊維が入っていることもあります。また、今回テストカットはしていないのですが、落水紙のようなデザインとしてムラが作られている紙もあります。
用紙の厚みや密度に極端なムラがあると、その一番厚いところが切れるほどの高出力で全体をカットしないといけません。
用紙の厚みのムラは切れ不良・カス残りの原因になったり、強すぎる出力でカットすることにより紙が燃えてしまうこともあります。
こういったリスクもありますので、和紙のカットをご検討している方は一度、どんな風合いの紙なのか、銘柄をご連絡の上で一度ご相談ください。
今回はレーザーカット適正に焦点を当てて評価しましたが、次回は今回カットした用紙に筆で文字を書いた場合の、筆記適正も見てみようと思います!
レーザーカットのご相談は東京紙器のお問い合わせフォームから是非ご連絡ください。
※お見積りご依頼の際には下記情報を添えてご連絡ください。
・用紙銘柄/斤量
・仕上がりサイズ
・数量
・カットデータ(adobe illustratorのパスデータ)