こんにちは、東京紙器のコガです。
本日は、社会福祉法人全国手話研修センターさまにご依頼いただいた、手話の紙クリップ製作の裏話をご紹介します!
目次
全国手話研修センター様について
社会福祉法人全国手話研修センターは、全国の「手話の拠点」として設立され、手話言語の研究・普及の取り組みをされています。
ろう者をはじめとする全ての人々が、平等かつ共に生きる社会の実現を目指し、手話通訳や養成担当講師の研修、職員研修、全国手話検定試験の実施、各種イベントの開催など多岐にわたる活動を展開されています。
最初のご相談
製作に関するご相談をいただいたのは約1年前のこと。当初はご担当者さまより個人的にお問い合わせいただきました。その時点では、手話をイメージした紙クリップを製作という構想だけで、具体的な仕様はほとんど決まっていない状態でした。
仕様を考える
製作物の仕様を考える際には、まずは「用途」を考えるのが重要です。用途に応じて仕様も異なります。例えば以下のようなことを考えます。
- 手元で事務用品として使う
- 別の品物と組み合わせる(パッケージの一部にする等)
- ノベルティとして配布する
- 商品として販売する
ヒアリングの結果、今回は「商品としての販売」を想定されており、クリップのデザインがしっかり見えるように、二つ折りの台紙に差し込んで固定する仕様を考えていることがわかりました。
製作見送り…
大まかな仕様が決まったので、一度概算で見積金額を計算し、参考価格としてご検討いただくことになりました。その結果、ご担当者さまの職場「社会福祉法人全国手話研修センター」の会議でご提案いただけることになりましたが、残念ながらその時の会議では採択されず、「引き続き検討」ということで一旦製作は見送られることになりました。
…から一転
これでお話は終わりかな…と思っていたのですが、半年後にご担当者さまから「今年もあきらめずにプレゼンをいたします!」とのご連絡をいただきました。今回は後述するように、より具体的な仕様に落とし込み、再度製作費をお見積りしたところ、会議にて再提案いただけることになりました。
その結果、無事承認が下り、約1年越しで製作が決まりました!これまでのやり取りの中で、ご担当者さまの熱意を強く感じていたので、私自身もまるで自分のことのように嬉しく、念願がかなった気持ちでした。
決定した仕様とデータの作成
今回決まった仕様は、二つ折りの台紙に2種類のクリップをそれぞれ1個ずつ差し込むものでした。クリップ本体には1mm厚の赤と灰のファイバー紙を使用し、台紙は両面にフルカラー印刷を施す仕様になりました。クリップの形状データ作成は弊社が担当し、台紙のデザインはお客様の社内デザイナーが手掛けることになりました。
デフリンピックをイメージしたデザイン
今回製作する紙クリップは、全国手話研修センターさまが9月に開催する「京都さがの手話まつり」での販売が予定されています。
この「まつり」のテーマは、
「広げよう手話の輪・デフスポーツの輪」~東京2025デフリンピックを応援しよう~
であり、そのテーマを参考にクリップの形状を考えることにしました。そこで考えたのが、以下のハンドサインと手話をクリップの形で再現することでした。
- 手話の輪をイメージした「アイラブユー」のハンドサイン
- デフスポーツの輪をイメージした「デフリンピック」の手話
「アイラブユー」のハンドサインは、指で「I」、人差し指と親指で「L」、小指と親指で「Y」を表現しています。
デフリンピックを表す手話は、デフリンピックのシンボルマークをイメージしています。親指と人差し指で輪を作り、上下に手を置き、輪を重ね、 手を入れ替えてもう一度輪を重ねます。
ラフスケッチはいただいたものの、特に「デフリンピック」の手話はクリップとしての機能と手話の表現を両立させるのが難しく、最初に複数の形状パターンをお見せして方向性を絞り、最終的な形状をご提案させていただきました。
ただし、デフリンピックの手話の特徴である「手を前後入れ替える動作」に関しては、クリップの形状だけでは伝えきれないため、お客様のアイデアで台紙のデザインにその動きを表現する絵柄を入れ込み、手話が完成するデザインにしていただきました。
完成品
こうして完成した商品の写真がこちらです。
本体サイズ:30×30mm
台紙サイズ:(展開時)W95×H115mm
にぎやかでかわいい台紙のデザインと紙クリップが合わさり、とても魅力的な商品が完成しました!台紙の裏側には、京都府立聾(ろう)学校の子どもたちと、きこえない親を持つきこえる子どもたちが描いた「アイラブユー」のハンドサインのイラストがデザインされています。
台紙を開いたところにもメッセージがあり、心温まるデザインとなっています。
デフリンピックとは
「デフリンピック」とは、「デフ」と「オリンピック」の2つの言葉を掛け合わせて作られた言葉です。デフ(Deaf)は英語で「耳がきこえない」という意味で、オリンピックは現在パリで開催中のスポーツの祭典「オリンピック」を指します。つまり、デフリンピックは国際的な「ろう者のためのオリンピック」なのです。
次のデフリンピックは、2025年11月15日~26日に東京で開催されます(日本では初の開催)。陸上、バドミントン、バスケットボールなど全21競技が実施される予定です。
京都さがの手話まつり
社会福祉法人全国手話研修センターでは、聴覚障害者、手話関係者、地元の方々との交流を通じて手話の普及を図ることを目的に、設立当初から「京都さがの手話まつり」を開催しています。今年は手歌や手話落語の披露をはじめ、フラダンスなどのダンスを手話で体験できるワークショップが開催されるそうです。きこえる人もきこえない人も、手話に親しめる楽しいイベントになっていますので、気になる方はぜひお立ち寄りください。
この度はご依頼いただきありがとうございました!
またのご依頼をお待ちしております。
紙クリップのご相談は、CLI-LABにお気軽にご連絡ください
CLI-LABで、お客様のアイデアを形に。
参考サイト
社会福祉法人全国手話研修センター
京都さがの手話まつり
https://www.com-sagano.com/kensyu/matsuri
東京2025デフリンピック 大会情報サイト
https://deaflympics2025-games.jp